【2025年版】相続した古家を解体するときの税金・控除・特例を徹底解説|3,000万円特別控除・取得費加算・固定資産税の落とし穴まで網羅

この記事の要点と結論

結論:空き家特例×取得費加算×譲渡費用整理×課税期日管理で税負担は大きく変わります

相続した古い家を解体し売却する際には、多くの税金が関わりますが、制度を理解し計画的に進めることで税負担を大幅に軽減できます。解体費用を経費として計上すること、利用可能な特例を漏れなく適用すること、そして固定資産税の増額リスクを管理することが成功の鍵です。本記事では、2025年最新の税制に基づき、具体的な手続きや注意点を網羅的に解説し、最適な意思決定をサポートします。

相続古家の意思決定フロー

方針決定における税務インパクトの比較

方針 前提条件 税務インパクト 主な期限 判断材料
古家付きで売却 買主が古家の利用または解体を判断 譲渡所得課税。買主が見つかりにくい可能性。 譲渡年の翌年3月15日(確定申告) 市場の需要、建物の状態、早期現金化の希望
解体して更地で売却 売主負担で建物を解体 譲渡所得課税。解体費を譲渡費用に計上可。空き家特例適用の可能性。固定資産税増額リスク。 相続開始から3年11ヶ月以内(空き家特例) 土地の需要、解体費用、特例適用の可否
建替え(自己利用) 自己資金で住宅を再建築 譲渡所得は発生しない。建替え中の固定資産税特例あり。住宅ローン控除適用の可能性。 解体後1ヶ月以内(建物滅失登記) 立地、居住ニーズ、資金計画
当面保有(賃貸化含む) リフォーム等を行い活用または維持 不動産所得が発生。固定資産税は継続。将来の税制改正リスク。 特になし(ただし空き家特例の期限は意識) 立地、賃貸需要、管理の手間とコスト

キャプション:上記は一般的な選択肢であり、個別の状況に応じて最適な方針は異なります。特に税務インパクトは特例の適用有無で大きく変動します。

相続した古家をどうするかは、主に「古家付き売却」「更地売却」「建替え」「保有」の四択から検討します。それぞれの選択肢で税金の計算方法や適用できる特例、必要な手続きが大きく異なるため、慎重な比較が不可欠です。特に、更地にして売却する選択肢は、空き家特例の適用可能性があり、税負担を劇的に軽減できるチャンスがあります。

税金の全体像

古家解体・売却に伴い発生する税金一覧

税目/制度 対象行為 算定式/税率の概観 発生タイミング 留意点
所得税・住民税 不動産の売却(譲渡) 譲渡所得 × 税率(所有期間で変動) 売却翌年の確定申告時 各種特例の適用で課税額が大きく変わる
復興特別所得税 不動産の売却(譲渡) 所得税額 × 2.1% 売却翌年の確定申告時 令和19年まで所得税と併せて納付
相続税の取得費加算 相続税を納税した財産の売却 納付した相続税の一部を取得費に加算 相続税申告期限の翌日から3年以内 空き家特例との併用は不可
固定資産税・都市計画税 不動産の保有 固定資産税評価額 × 標準税率 毎年1月1日時点の所有者に対し課税 住宅解体で特例が外れ、税額が最大6倍に
印紙税 不動産売買契約書の作成 契約金額に応じた印紙を貼付 契約書作成時 契約金額により税額が異なる
登録免許税 相続登記、抵当権抹消登記 固定資産税評価額 × 税率など 登記申請時 相続登記は2024年4月から義務化

キャプション:各税金の詳細は、国税庁や各地方自治体の最新情報をご確認ください。

相続した古家の解体・売却では、主に売却益に対して所得税・住民税が課されます。この売却益を「譲渡所得」と呼び、所有期間に応じて税率が変わります。また、相続税を納付した人が一定期間内にその不動産を売却した場合、納めた相続税の一部を不動産の取得費に加算できる特例があります。不動産を保有している限り、毎年固定資産税・都市計画税の支払いも必要です。

譲渡所得の基礎:所有期間・取得費・譲渡費用

譲渡所得を構成する3つの重要要素

要素 定義 算式/具体例 判定基準 証憑/証明
所有期間 不動産を所有していた期間 被相続人の取得日~譲渡した年の1月1日 5年超:長期譲渡(税率約20%)
5年以下:短期譲渡(税率約39%)
過去の売買契約書、登記事項証明書
取得費 不動産を取得するためにかかった費用 購入代金+購入手数料-減価償却費 不明な場合は売却額の5%(概算取得費) 売買契約書、仲介手数料・登記費用の領収書
譲渡費用 不動産を売却するために直接かかった費用 仲介手数料+印紙税+解体費など 売却のために直接必要だったか否か 仲介手数料の領収書、解体工事の契約書・領収書

キャプション:譲渡所得の計算式: 譲渡価額 -(取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額。出典:国税庁 (2025年確認)

譲渡所得税の計算で最も重要なのが、譲渡所得(利益)を正確に算出することです。相続した不動産の場合、所有期間は親など被相続人が取得した日から引き継いで計算します。これにより、相続後すぐに売却しても、被相続人が長年所有していれば長期譲渡所得となり、低い税率が適用されます。取得費も同様に被相続人の購入価格が基準となりますが、不明な場合は売却額の5%で計算する「概算取得費」を用いることになり、税負担が重くなる傾向があります。

建物の解体費は、土地を売却するために直接必要だった場合に限り「譲渡費用」として計上できます。例えば、売買契約で「更地渡し」が条件となっている場合などが典型例です。単に老朽化したからという理由での解体は、譲渡費用と認められない可能性があるため注意が必要です。

空き家に係る三千万円特別控除

適用要件が厳しいが効果絶大な節税策

項目 内容
対象者 相続または遺贈により被相続人居住用家屋及びその敷地等を取得した個人
対象不動産 昭和56年5月31日以前に建築
・区分所有建物登記がされていないこと
・相続開始直前において被相続人以外に居住者がいなかったこと
適用要件 ・相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
・売却代金が1億円以下
・家屋を耐震リフォームして売却、または家屋を解体して敷地を売却
控除額 譲渡所得から最高3,000万円(相続人3人以上の場合は2,000万円)
必要書類 譲渡所得の内訳書、被相続人居住用家屋等確認書(市区町村発行)、売買契約書の写し等
注意点 ・相続税の取得費加算とは選択適用(併用不可)
・相続後に一度でも事業用や貸付用、居住用に使うと適用不可

キャプション:適用期間は令和9年12月31日までの譲渡。詳細は国税庁 No.3306 (2025年確認)を参照。

正式名称を「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といい、特定の要件を満たす相続空き家を売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。この特例の適用を受けるためには、家屋を取り壊して更地で売却するか、新耐震基準に適合するようリフォームして売却する必要があります。古家を解体して売却するケースでは、この特例が使えるかどうかが税額を左右する最大のポイントになります。

最も重要な手続きの一つが、物件所在地の市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」を取得することです。この書類がないと確定申告で特例を適用できません。申請から交付まで数週間かかる場合もあるため、売却が決まったら早めに準備を始めることが肝心です。

相続税の取得費加算

相続税を納税した場合に使えるもう一つの節税策

項目 内容
趣旨 一つの財産に相続税と譲渡所得税が二重に課税される負担を調整するための制度
対象者 相続または遺贈により財産を取得し、その財産に対応する相続税を納税した個人
適用要件 相続開始のあった日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡すること
加算額の計算 その者が納付した相続税額 × (その者の譲渡した財産の相続税評価額 ÷ その者の相続税の課税価格)
必要書類 譲渡所得の内訳書、相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書、相続税申告書の写し等
注意点 空き家特例との併用はできず、どちらか有利な方を選択する必要がある

キャプション:制度の詳細は国税庁 No.3267 (2025年確認)を参照。

相続時に相続税を支払った人が、相続した財産を一定期間内に売却した場合、支払った相続税の一部を売却時の取得費に上乗せできる制度です。これにより、課税対象となる譲渡所得が圧縮され、所得税・住民税が軽減されます。この特例の適用期限は、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月)の翌日から3年以内です。

空き家特例取得費加算は、どちらか一方しか選択できません。一般的に、譲渡所得が大きい場合は3,000万円の控除が受けられる空き家特例が有利になりやすく、相続税の納税額が大きく、譲渡所得が比較的小さい場合は取得費加算が有利になる傾向があります。どちらが有利になるかは個別のケースで異なるため、必ず事前にシミュレーションを行うことが重要です。

解体費・造成費・境界確定費の税務

どこまでが「譲渡費用」として認められるか

費目 譲渡費用該当性 条件 NG例 根拠/出典
建物解体費 該当する 土地を売却するために解体した場合。売買契約で更地渡しが条件となっているなど。 単なる老朽化対策や、建替え目的での解体。 国税庁 No.3255
残置物処分費 原則として該当しない 売買契約の特約で、売主が処分することが売却の条件となっている場合。 売主の都合で行う通常の遺品整理や家財処分。 国税不服審判所 裁決事例
土地造成費 原則として取得費 売却の条件として、買主の要望で特定の造成工事を行った場合。 土地の価値を高めるために自主的に行った造成。 国税庁 No.3252
測量・境界確定費 該当する 売買にあたり、隣地との境界を明確にするために測量した場合。 土地活用の検討など、売却と直接関係ない目的で行った測量。 国税庁 確定申告の手引き

キャプション:上記は一般的な判断基準です。最終的な判断は税務署が行うため、契約書等で目的を明確にすることが重要です。

譲渡費用として認められるか否かの線引きは、「その支出がなければ売却が成立しなかったか」という直接的な関連性で判断されます。建物解体費境界確定のための測量費は、売買契約の前提条件となることが多いため、一般的に譲渡費用として認められます。これらの費用は、必ず契約書や領収書を保管し、支出の目的を証明できるようにしておきましょう。

一方、室内に残された家具や家電などの残置物処分費は、原則として譲渡費用には含まれません。これは、売主が本来負担すべき維持管理費や個人的な支出と見なされるためです。ただし、買主からの強い要望で、契約書に「残置物撤去」が売却の条件として明記されている場合など、例外的に認められる可能性もあります。

固定資産税と課税期日の落とし穴

解体時期が税額を大きく左右する「1月1日時点」の原則

論点 内容 影響 手続 留意点
課税期日 毎年1月1日(賦課期日) 1月1日時点の土地・家屋の状況でその年度の税額が決定される。 特になし(自動的に課税) 1月2日に解体しても、その年の家屋分の固定資産税はかかる。
住宅用地の特例 住宅が建っている土地の税金を軽減する制度 小規模住宅用地(200㎡以下):固定資産税が1/6、都市計画税が1/3に軽減。 原則、手続き不要で適用。 この特例が税負担軽減の要。
解体時期の影響 1月1日時点で建物がない(更地)状態だと特例が適用されない。 特例が外れ、土地の固定資産税が最大6倍、都市計画税が3倍になる可能性がある。 解体工事のスケジュール管理。 年をまたぐ売却計画では、解体は年明けの1月2日以降に行うのがセオリー。
建物滅失登記 建物を解体後1ヶ月以内に行う法的な義務。 登記をしないと、存在しない建物に課税され続けたり、10万円以下の過料の対象となる。 法務局へ申請(土地家屋調査士に依頼が一般的)。 未登記建物の場合も市町村役場への「家屋滅失届」が必要。

キャプション:固定資産税・都市計画税は、市町村(東京23区は都)が課税する地方税です。詳細は物件所在地の自治体にご確認ください。

相続した家を解体する上で、最も注意すべきなのが固定資産税です。住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、税額が大幅に軽減されています。しかし、建物を解体して更地にしてしまうと、この特例の対象から外れてしまいます。固定資産税は毎年1月1日の状態で判断されるため、例えば12月中に解体を終えてしまうと、翌年の1月1日時点では更地となり、特例が適用されず税額が急増します。

この「固定資産税の跳ね上がり」を避けるためには、解体のタイミングを調整することが有効です。売却先が決まっており、年内に引き渡す必要がないのであれば、解体工事を年明けの1月2日以降に着手するように計画しましょう。そうすれば、少なくともその1年間は住宅用地の特例が適用されたままとなり、余計な税負担を回避できます。

ケース別シミュレーション

特例の選択で納税額はどう変わるか

ケース 前提条件 控除適用 概算税負担(円) 判断ポイント
ケース1 ・売却価格:4,000万円
・取得費:不明(200万円)
・譲渡費用:300万円
・相続税納税:なし
空き家特例
(3,000万円控除)
譲渡所得:4,000-200-300 = 3,500
課税所得:3,500-3,000 = 500
税額:約101.5万円
譲渡所得が大きく、相続税を払っていないため空き家特例一択。特例なしの場合の税額は約710万円となり、効果は絶大。
ケース2 ・売却価格:4,000万円
・取得費:不明(200万円)
・譲渡費用:300万円
・相続税納税:あり
・取得費加算額:800万円
取得費加算の特例 譲渡所得:4,000-(200+800)-300 = 2,700
課税所得:2,700
税額:約548.1万円
空き家特例の要件を満たさないが、相続税を納税している場合に適用。何もしないより税負担を軽減できる。
ケース3 ケース2の条件で、空き家特例の要件も満たす場合 有利選択
(空き家特例 vs 取得費加算)
空き家特例適用時:約101.5万円
取得費加算適用時:約548.1万円
空き家特例が有利
両方の特例が使える場合、必ず税額を比較計算する。このケースでは控除額の大きい空き家特例が圧倒的に有利。

キャプション:算式:譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)。税額=課税譲渡所得×税率20.315%(長期譲渡・復興特別所得税含)。取得費は概算取得費(4,000万円×5%)、譲渡費用は解体費150万円、仲介手数料138.6万円、その他11.4万円と仮定。2025年時点の税率で計算。

シミュレーションを見ると、特例を適用できるかどうかで納税額に数百万円単位の差が出ることがわかります。特に空き家特例は、適用できれば税負担をゼロにできる可能性もある強力な制度です。ご自身の状況がどの特例の要件に合致するのか、または合致させるために何が必要かを正確に把握することが、賢い売却の第一歩となります。

補助金と税務(危険空き家除却等)

自治体の補助金と確定申告の関係

制度 対象工事 支給額(例) 課税関係 併用可否 証憑
老朽危険家屋等除却費補助金 倒壊の危険性等がある空き家の解体工事 横浜市:最大50万円
厚木市:最大50万円
原則として非課税
ただし、譲渡費用からは補助金額を差し引く必要がある。
国の制度(空き家特例等)との併用可否は自治体によるため要確認。 補助金交付決定通知書、実績報告書

キャプション:制度の有無、名称、補助金額、要件は各地方自治体で大きく異なります。必ずお住まいの市区町村の建築指導課等にご確認ください。(2025年9月調査時点)

多くの自治体では、倒壊の危険性があるなどの「特定空家」や管理不全な空き家の解体を促進するため、工事費用の一部を補助する制度を設けています。これらの補助金を受け取った場合、そのお金は所得税法上、原則として非課税(総収入金額に算入しない)として扱われます。これは、資産の移転や除却のための支出に充てるための交付金と位置づけられるためです。

ただし、確定申告で解体費用を譲渡費用として計上する際には注意が必要です。受け取った補助金の額は、支払った解体費用の総額から差し引いて計算しなければなりません。例えば、解体費用が200万円かかり、自治体から50万円の補助金を受け取った場合、譲渡費用として計上できるのは差額の150万円となります。

必要書類と申告ステップ

特例適用に不可欠な書類と手続きの流れ

書類 入手先 提出先/様式 提出時期 不備防止のポイント
確定申告書 B第三表(分離課税用) 税務署、国税庁HP 所轄税務署 譲渡した年の翌年2月16日~3月15日 e-Taxでの作成が便利で計算ミスも防ぎやすい。
譲渡所得の内訳書 税務署、国税庁HP 確定申告書に添付 確定申告時 売買契約書や領収書に基づき正確に金額を記入する。
売買契約書の写し (自身で保管) 確定申告書に添付 確定申告時 収入印紙が貼付された原本からコピーを取る。
取得費・譲渡費用の領収書等 (自身で保管) 確定申告書に添付 確定申告時 仲介手数料、解体費、印紙税など全ての費用書類をまとめる。
被相続人居住用家屋等確認書 物件所在地の市区町村役場 確定申告書に添付 確定申告時 (空き家特例用)交付に時間がかかるため、売買契約後すぐに申請する。
相続税の申告書の写し計算明細書 (自身で保管)、国税庁HP 確定申告書に添付 確定申告時 (取得費加算用)相続税申告時の書類一式を準備する。

キャプション:必要書類は適用する特例や個別の状況により異なります。詳しくは国税庁のウェブサイト (2025年確認)等でご確認ください。

相続した古家を解体・売却して利益が出た場合、売却した年の翌年に確定申告が必要です。特に、空き家特例取得費加算といった節税効果の高い特例を適用するためには、通常の申告書類に加え、それぞれ定められた証明書類を添付しなければなりません。これらの書類が一つでも欠けていると、特例の適用が認められず、多額の税金を納めることになりかねません。

特に重要なのが、空き家特例の適用に必須の「被相続人居住用家屋等確認書」です。これは税務署ではなく、物件がある市区町村の役所(建築指導課など)に申請して交付を受けます。申請には、被相続人の住民票除票や売買契約書の写しなど複数の書類が必要で、審査にも時間がかかります。売却手続きと並行して、早めに準備を進めることが申告をスムーズに行うための鍵です。

よくある誤解と否認リスク

税務調査で指摘されやすいポイント

誤解 実際 否認理由 是正策 再発防止
解体費用の領収書があれば、どんな理由でも譲渡費用になる。 売却目的が明確な場合に限られる。 老朽化対策など、売却と直接関係ない解体は譲渡費用と認められない。(令和3年2月25日裁決) 売買契約書に「更地渡し」を明記する。 支出の目的を客観的な証拠(契約書)で示す。
空き家特例のため、遺品整理で数日泊まるのは問題ない。 相続人が一度でも居住の用に供すると適用不可となる。 生活の実態があると「被相続人の居住用」でなくなり、要件を満たさないと判断されるリスクがある。 宿泊は避け、日帰りで作業する。電気・ガス・水道の契約名義に注意する。 特例の要件を厳密に解釈し、疑義のある行為は避ける。
親の介護で実家に引き取った後、空き家になった家も特例対象だ。 相続開始直前に被相続人が一人で居住していたことが要件。 被相続人が老人ホーム等に入所した場合の例外はあるが、同居介護のための転居は対象外と判断された例がある。(令和5年11月12日裁決) 特例適用は困難。他の節税策(取得費加算など)を検討する。 制度の趣旨を理解し、形式だけでなく実態で要件を満たすか確認する。

キャプション:裁決事例は特定の事案に対する判断であり、全てのケースに同様に適用されるとは限りません。ご自身のケースは専門家にご相談ください。

税務に関する特例は、その要件が厳格に定められており、解釈を誤ると後日の税務調査で否認されるリスクがあります。特に、解体費用の譲渡費用への算入や、空き家特例の居住要件は、調査で争点になりやすいポイントです。なぜその費用を支出したのか、なぜその家が空き家だったのか、といった背景を客観的な書類で説明できる状態にしておくことが極めて重要です。不明な点や判断に迷う場合は、自己判断せず、税理士などの専門家に相談しましょう。

Q&A(実務の悩み別)

相続古家の解体・売却に関するよくある質問

質問 結論の要点 根拠(年月+出典名) 注意点
Q1. 空き家特例と取得費加算は併用できますか? いいえ、併用はできません。どちらか一方の、納税者にとって有利な方を選択適用します。 租税特別措置法関係通達 35-2(2025年9月確認) どちらが有利かは、譲渡所得の金額や相続税の納税額によって変わるため、必ず両方のパターンで税額を計算して比較検討する必要があります。
Q2. 相続した家の取得費がわかる書類が全くありません。どうすれば良いですか? 売却価格の5%を「概算取得費」として計算します。これは法律で認められた方法です。 国税庁 No.3258(2025年9月確認) 概算取得費を使うと、実際の取得費よりかなり低く計算され、税金が高くなることがほとんどです。できる限り、当時の契約書や資料を探す努力をすべきです。
Q3. 解体したのが共有名義の不動産の場合、解体費用はどう按分しますか? 原則として、共有持分の割合に応じて解体費用を按分し、それぞれの譲渡費用として計上します。 所得税基本通達 33-7(2025年9月確認) 特定の共有者が費用を全額負担した場合でも、税務計算上は持分に応じて按分するのが基本です。負担割合について共有者間で取り決めがある場合は、その合意内容を証明できるよう書面を残しておくと良いでしょう。

相続不動産に関する税務は、個々の事情によって判断が分かれる複雑なケースが少なくありません。特に複数の相続人が関わる共有不動産の場合は、費用の負担割合や特例の適用について、事前に全員で合意形成を図っておくことがトラブル防止につながります。

まとめ

相続した古家の解体と売却は、単なる不動産取引ではなく、税務上の知識と戦略が大きく成果を左右するプロセスです。譲渡所得の計算における譲渡費用の適切な計上、空き家特例取得費加算という二大節税策の有利選択、そして固定資産税の課税期日を意識した解体スケジュールの管理が、手残りを最大化するための重要な柱となります。

特に、各種特例の適用には厳格な要件と期限、そしてそれを証明するための書類が不可欠です。手続きの複雑さや判断の難しさから、少しでも不安を感じる点があれば、税理士や不動産会社など、信頼できる専門家の助言を求めることを強くお勧めします。本記事が、皆様のスムーズで有利な資産承継の一助となれば幸いです。

(免責事項:本記事の内容は2025年9月時点の法令等に基づき作成されていますが、税法の改正や個別の事情により取り扱いが異なる場合があります。具体的な税務判断にあたっては、必ず税理士等の専門家にご相談ください。)

参考サイト

初心者のための用語集

免責事項

本記事の内容(法令・手続き・費用相場・補助金制度・提出先等)は、執筆時点の一般的な情報に基づく参考解説であり、正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。

制度や運用、補助要件、提出期限・様式、費用相場は自治体・地域・個別案件(構造・規模・周辺環境・石綿含有の有無等)により大きく異なり、予告なく変更される場合があります。

実際の申請・契約・工事・廃棄物処理・マニフェスト等の実務は、所管行政機関・関係法令・最新のガイドラインに従い、必ずご自身(または担当者様)の責任で原資料を確認のうえ判断してください。

本記事は法的助言・専門的助言の提供を目的とするものではなく、これに基づき生じたいかなる損害・トラブルについても当社は責任を負いかねます。

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