【2025年版】ガレージ解体費用の全相場─木造・鉄骨・RC×サイズ別早見表と補助金活用術

この記事の要点・結論

この記事では、2025年最新のデータに基づき、ガレージ解体にかかる費用を構造別・サイズ別に徹底解説します。ご自身のガレージ解体がいくらになるのか、具体的な実例や見積書の内訳を通じて、総額の目安を把握できます。

結論として、ガレージ解体費用は木造1台用で30万円台から、鉄骨2台用で70万円台からが目安となり、構造やサイズ、立地条件によって大きく変動します。費用を抑えるためには、複数の業者から相見積もりを取得し、自治体の補助金制度を最大限活用することが極めて重要です。

• 構造別・サイズ別費用相場：木造・鉄骨・RC造の1台用、2台用、大型ガレージの解体費用を実例で公開します。
• 費用を左右する4要素：解体費用は「構造」「サイズ」「立地条件」「産業廃棄物処分費」で決まります。
• コスト削減の秘訣：自治体の補助金活用や適切な業者選びが、費用を数十万円単位で削減する鍵となります。
• 見積もりと手続き：見積書の見方から、建設リサイクル法などの必要な届出まで、一連の流れを分かりやすく解説します。

本記事を読めば、ガレージ解体の計画から完了まで、安心して進めるための知識が身につきます。適正価格で信頼できる業者に依頼するための第一歩としてご活用ください。

ガレージ解体費用の相場を左右する4要素

ガレージの解体費用は、単純な面積だけで決まるものではありません。主に4つの要素が複雑に絡み合い、最終的な金額が算出されます。これらの要素を理解することで、見積書の内容をより深く把握し、適正価格を見極めることができます。

構造・サイズ・立地条件・産廃処分費

• 構造（木造・鉄骨造・RC造）：建物の構造が頑丈になるほど、解体に手間と時間がかかり、使用する重機も大型化するため費用は高くなります。特にRC（鉄筋コンクリート）造は最も高額になる傾向があります。
• サイズ（面積・坪数）：当然ながら、ガレージの面積が広くなるほど解体費用は上昇します。ただし、規模が大きくなると坪単価は割安になるのが一般的です。
• 立地条件と周辺環境：重機が搬入できない狭い道に面している、隣家との距離が近いといった悪条件では、手作業が増えたり特別な養生が必要になったりするため、費用が割高になります。
• 産業廃棄物の種類と量：解体で発生する木くず、コンクリートガラ、鉄くずなどの処分費用も総額に大きく影響します。鉄くずは有価物として買い取ってもらえる場合があり、費用を相殺できることもあります。

これらの基本要素に加え、アスベストの有無や地中埋設物の存在なども追加費用が発生する要因となります。そのため、現地調査に基づいた詳細な見積もりが不可欠です。

構造別×サイズ別 価格早見表【実例付き】

ガレージの解体費用が構造とサイズによってどの程度変わるのか、具体的な価格帯を見ていきましょう。ここでは、2025年の最新単価データ（2025-05 再資源建設協会「解体工事単価調査」参考）を基に算出した、費用総額の目安を実例とともにご紹介します。

1台用 木造（15㎡）／鉄骨（18㎡）／RC壁（20㎡）

一般的な乗用車1台分のガレージ（約15㎡～20㎡）の解体費用目安です。構造によって費用が大きく異なることが分かります。

木造ガレージは比較的解体が容易なため、費用を抑えやすいです。一方、鉄骨造は専門の工具や技術が必要となり、RC造は大規模な重機と長い工期を要するため、費用は最も高額になります。

2台用 木造（28㎡）／鉄骨（32㎡）／RC（35㎡）

次に、乗用車2台を収容できる広さのガレージの費用目安です。面積が広がる分、総額は上がりますが、坪単価は1台用に比べて割安になる傾向があります。

• 木造（28㎡／約8.5坪）：総額 50万円～80万円。規模が大きくなるため、重機の使用が一般的となり、その分の費用が加算されます。
• 鉄骨造（32㎡／約9.7坪）：総額 70万円～120万円。柱や梁が太くなり、解体により手間がかかります。発生する鉄くずの量も増えるため、買取価格が重要になります。
• RC造（35㎡／約10.6坪）：総額 130万円～200万円。強固な構造と大量に発生するコンクリートガラの処分費が、費用を押し上げる主な要因です。

2台用のガレージになると、解体工事も本格的になります。特にRC造の場合、費用は200万円近くに達することもあり、慎重な計画と資金準備が求められます。

大型ガレージ30㎡超・バイク兼用 等

30㎡を超える大型ガレージや、シャッター付きの倉庫、バイクや農機具も収納するような特殊なガレージの場合、費用は個別見積もりが必須です。

例えば、床面積が80㎡を超える建築物の解体では、建設リサイクル法に基づく届出が義務付けられており、手続きの費用も発生します。また、電動シャッターやリフトなどの設備があれば、その撤去費用も別途必要です。これらのケースでは、坪単価だけで判断せず、必ず複数の専門業者に現地調査を依頼しましょう。

実例で見る見積書内訳（3件）

ここでは、実際の解体工事で提示される見積書がどのような内訳になっているのか、具体的な3つの実例を基に見ていきます。総額だけでなく、どの項目にどれくらいの費用がかかっているかを把握することが、適正価格を判断する上で重要です。

東京都：鉄骨2台用 32㎡ 78万円

都心部における一般的な2台用鉄骨ガレージの解体事例です。重機の搬入経路や近隣への配慮から、仮設費用がしっかり計上されています。

この事例では、鉄骨本体の解体費が最も大きな割合を占め、次に産廃処分費が続きます。鉄くずの買取によって費用が一部相殺されている点もポイントです。

愛知県：木造1台用 15㎡ 38万円

地方都市における標準的な木造1台用ガレージの解体事例です。比較的安価な木造ですが、基礎撤去や廃材処分にしっかり費用がかかっています。

• 仮設工事費： 30,000円
• 木造ガレージ解体費： 135,000円 (15㎡ × 9,000円/㎡)
• 基礎撤去工事費： 21,000円 (3㎥ × 7,000円/㎥)
• 産業廃棄物運搬処分費： 124,000円 (木くず、コンクリートガラ等)
• 重機回送費： 30,000円
• 諸経費： 40,000円
• 合計（税抜）： 380,000円

木造は解体作業自体は安価ですが、廃材の運搬・処分費が全体の約3分の1を占めています。見積もりではこの処分費が適正に計上されているかを確認することが重要です。

兵庫県：RC大型 45㎡ 150万円

頑丈なRC造の大型ガレージの解体事例です。解体の難易度が高く、特殊な重機が必要になるため、総額も高額になります。

• 仮設工事費（防音パネル含む）： 120,000円
• RC造ガレージ解体費： 900,000円 (45㎡ × 20,000円/㎡)
• 基礎・地中梁撤去工事費： 150,000円
• 産業廃棄物運搬処分費： 250,000円 (コンクリートガラ、鉄筋等)
• 重機損料・回送費： 130,000円
• 諸経費： 100,000円
• 合計（税抜）： 1,650,000円

RC造では、本体解体費が突出して高額になります。また、騒音や振動への対策として防音パネルを使用したり、大型重機のレンタル料（損料）が加算されたりする点が特徴です。

補助金・助成金を活用してコスト削減

ガレージの解体には、国や自治体が提供する補助金・助成金制度を活用できる場合があります。特に、老朽化して倒壊の危険がある空き家や、防災上の課題がある地域の建物を対象とした制度が多く、条件に合致すれば費用の半分以上が補助されるケースもあります。

東京都足立区／横浜市／神戸市の最新制度

ここでは、首都圏・関西圏の代表的な自治体の制度（2025年6月時点）をご紹介します。お住まいの自治体でも同様の制度がないか、必ず確認しましょう。

これらの補助金は、必ず工事契約前に申請し、交付決定を受ける必要があります。また、年度ごとに予算が定められており、早期に受付が終了する場合も多いため、計画段階で早めに自治体の担当窓口（建築指導課など）に相談することが重要です。

多くの制度では、耐震基準を満たさない古い建築物（主に1981年以前）であることが条件となっています。ご自身のガレージが対象になるか、まずは自治体のホームページを確認するか、直接問い合わせてみましょう。

届出・手続きチェックリスト（建設リサイクル法・道路占用許可 等）

ガレージの解体工事を行う前には、法律に基づいたいくつかの届出や許可申請が必要です。これらの手続きを怠ると罰則の対象となる場合があるため、発注者としてもしっかりと把握しておくことが大切です。通常は解体業者が代行してくれますが、最終的な責任は発注者にあります。

• 建設リサイクル法に基づく届出：これが最も重要な手続きです。解体する部分の床面積の合計が80㎡以上の場合、工事着手の7日前までに、分別解体の計画などを都道府県知事等に届け出る義務があります。
• 道路使用許可：工事車両の駐車や資材の搬出入で公道を使用する場合に必要です。管轄の警察署に申請します。
• 道路占用許可：足場や養生シートが公道にはみ出して設置される場合に必要です。道路管理者（市役所など）に申請します。
• アスベスト（石綿）関連の届出：一定規模以上の解体で、アスベスト含有建材が使用されている場合は、労働基準監督署や自治体への届出が別途必要になります。

特に建設リサイクル法の届出は、多くのガレージ解体で該当する可能性があります。2台用ガレージと物置を同時に解体するようなケースでは、合計面積が80㎡を超えやすいため注意が必要です。

信頼できる業者であれば、これらの手続きをリストアップし、必要な書類の準備や提出代行について丁寧に説明してくれます。契約前に、手続き関連の費用が 見積もりに含まれているかどうかも確認しておきましょう。

業者選び5つのポイントとNG例

ガレージ解体の成否は、業者選びにかかっていると言っても過言ではありません。費用が安ければ良いというわけではなく、安全かつ適法に工事を完了してくれる信頼できるパートナーを見つけることが重要です。ここでは、優良業者を見抜くための5つのポイントと、避けるべきNG業者の特徴を解説します。

1. 必ず3社以上から相見積もりを取る
   1社だけの見積もりでは、その価格が適正かどうか判断できません。最低でも3社から相見積もりを取得し、工事内容と金額を比較検討することが基本です。これにより、地域の費用相場を把握でき、極端に高い、あるいは安すぎる業者を避けることができます。
2. 建設業許可または解体工事業登録を確認する
   解体工事を行うには、「建設業許可（建築工事業、とび・土工工事業、解体工事業のいずれか）」または「解体工事業登録」が必須です。無許可・無登録の業者は違法であり、トラブルの元凶です。見積もり依頼時に許可番号を確認し、提示を求めましょう。
3. 見積書の内訳が詳細で明確かチェックする
   「解体工事一式 〇〇円」といった大雑把な見積書を出す業者は危険です。優良な業者は、仮設工事、本体解体、基礎撤去、廃棄物処分費、重機回送費など、項目ごとに数量・単価・金額を詳細に記載します。これにより、後からの不当な追加請求を防ぐことができます。
4. 損害賠償保険に加入しているか確認する
   万が一、工事中に隣家を傷つけたり、通行人に怪我をさせてしまったりした場合に備え、業者が損害賠償責任保険に加入しているかは必ず確認してください。保険証券のコピーを提示してもらうのが最も確実です。
5. 担当者の対応と実績を確認する
   質問に対して丁寧に分かりやすく説明してくれるか、近隣への配慮について具体的な計画を持っているかなど、担当者の対応も重要な判断基準です。また、会社のホームページなどで、同種のガレージ解体の施工実績が豊富かどうかも確認しましょう。

【こんな業者はNG！】
・契約を異常に急がせる
・理由なく大幅な値引きを提案してくる
・アスベスト調査の重要性を説明しない
・廃棄物処理に関する書類（マニフェスト）の発行を渋る

よくある質問（Q&A）

ガレージ解体に関して、お客様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q1. アスベスト含有が疑われる場合の費用は？

A1. 別途、調査費用と除去・処分費用が発生します。2006年以前に建てられたスレート屋根やサイディング外壁のガレージは、アスベストを含んでいる可能性があります。法律により事前調査が義務付けられており、調査費用として3万円～10万円程度かかります。アスベストが検出された場合、そのレベルに応じた専門的な除去・処分が必要となり、数十万円以上の追加費用が発生することがあります。

Q2. 解体して更地にすると固定資産税が上がると聞きました。

A2. はい、原則として上がります。建物が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大で6分の1に軽減されています。ガレージを解体して更地にすると、この特例が適用されなくなるため、翌年度からの土地の固定資産税が3～4倍になるケースが一般的です。解体後の土地活用計画と合わせて税金の変動も考慮することが重要です。

Q3. カーポートの解体費用はどのくらいですか？

A3. 3万円～10万円程度が目安です。柱と屋根のみのシンプルなカーポートの場合、解体は比較的容易です。アルミ製1台用で3万円～6万円、スチール製2台用で5万円～10万円程度が相場となります。ただし、基礎コンクリートの撤去規模や、他の外構工事と同時に行うかによって費用は変動します。

Q4. 産業廃棄物管理票（マニフェスト）とは何ですか？

A4. 解体工事で出た廃棄物が、適正に処理されたことを証明する書類です。解体業者が廃棄物を処理業者に引き渡す際に発行し、最終処分までの一連の流れを記録します。不法投棄を防ぐための重要な仕組みで、発注者（施主）にも写しの保管義務があります。マニフェストの発行を拒否したり、説明が曖昧な業者は絶対に避けましょう。

まとめ

本記事では、2025年の最新情報に基づき、ガレージの解体費用について構造別・サイズ別の実例を交えながら詳しく解説しました。費用は様々な要因で変動しますが、大まかな相場観を持つことで、計画を立てやすくなったのではないでしょうか。

改めて要点をまとめます。

• 費用相場：木造1台用で30万円台～、鉄骨2台用で70万円台～がひとつの目安。RC造は最も高額になります。
• 重要要素：費用は「構造」「サイズ」「立地」「廃棄物」の4要素で決まります。
• コスト削減術：自治体の補助金制度の確認と、複数業者からの相見積もりが不可欠です。
• 業者選び：許可の有無、詳細な見積書、保険加入、マニフェスト発行の4点は必ず確認しましょう。

使わなくなったガレージは、放置すると倒壊のリスクや景観の悪化、固定資産税の負担だけが残ります。解体は決して安い出費ではありませんが、この記事で得た知識を元に、まずは信頼できる複数の解体業者に相談し、現地調査と見積もりを依頼することから始めてみてください。それが、適正価格で安全な解体工事を実現するための最も確実な一歩となります。

よくある質問

• アスベスト調査費はいくら？
  木造・鉄骨は3〜5万円、RCは7万円前後が一般的です。詳細は
  環境省ガイドラインを参照してください。
• 解体工期はどれくらい？
  15㎡木造で3〜5日、45㎡RCで10〜14日が目安です。道路占用許可の取得期間は別途必要です。
• 鉄スクラップの買取は誰が手配する？
  通常は解体業者がリサイクル業者へ直接売却し、見積書にマイナス計上されます。市場価格は
  日本鉄リサイクル工業会で確認できます。
• 補助金は併用できる？
  同一工事で「自治体の解体補助」と「国のバリアフリー改修補助」など制度目的が異なれば併用可能です。
  詳しくは各自治体の要綱（例：
  足立区公式サイト）を確認してください。
• 届出を怠った場合の罰則は？
  建設リサイクル法の届出義務違反で20万円以下の罰金が科されます。条文は
  国交省資料を参照してください。

初心者のための用語集

• 坪単価：建物や解体費用を1坪（約3.3㎡）当たりの金額で示す指標。相場比較に用いられる。
• 木造・鉄骨造・RC造：ガレージの主要構造材。木造＝木材、鉄骨造＝鋼材フレーム、RC造＝鉄筋コンクリート。
• 産業廃棄物処分費：解体で発生する木くず・コンクリートガラなどの収集・運搬・最終処分にかかる費用。
• 鉄スクラップ買取：鉄骨・鉄筋をリサイクル業者へ有価物として売却し費用を相殺する仕組み。
• 重機損料：コンクリート破砕機など特殊重機の使用コスト。RC造で高額になりやすい。
• 建設リサイクル法：延床80㎡以上の解体で分別解体届出と再資源化を義務付ける法律。違反は20万円以下の罰金。
• マニフェスト（産廃管理票）：廃棄物の排出〜最終処分を追跡する伝票。発行・保管は業者の義務。
• 道路占用許可：公道に足場・資材を設置する際に道路管理者へ申請する許可。取得目安30〜60日。

参考サイト

• 環境省「石綿事前調査結果報告マニュアル」 ― アスベスト調査・報告の公式手順が確認できます。
• 日本鉄リサイクル工業会「2025年鉄スクラップ価格推移」 ― 鉄スクラップH2価格の最新相場を把握できます。
• 足立区「不燃化特区 建替・解体助成制度」 ― 高額補助金の対象条件と申請期限を確認できます。
• 国土交通省「建設リサイクル法 Q&A」 ― 80㎡以上の解体に必要な届出と罰則を解説した公式資料です。
• 大東建設「全国産業廃棄物処理費用・相場」 ― 木くず・コンクリートガラ処分費の地域差を確認できます。