【2025年最新版】解体工事の必要書類と提出先を完全網羅|建設リサイクル法・アスベスト・産廃マニフェスト徹底ガイド

この記事の要点・結論

店舗やオフィスの解体工事には、法令に基づく多様な書類提出が求められます。手続きの全体像を把握し、計画的に進めることが、遅延や違反のリスクを回避する鍵です。この記事では、必要な届出や許可を一覧化し、いつ、どこへ、何を提出すべきかを実務的な視点から網羅的に解説します。

先に結論:契約→事前調査→主要届出→近隣→工事→証跡の順で潰せばミスは激減します

必要書類・提出先の全体像マップ

解体工事に関わる主要な届出・許可・報告の一覧

書類名 根拠法令/指針 要否基準 提出先 締切/事前日数 様式/URL 電子申請 証跡/保存
建設リサイクル法届出 建設リサイクル法 床面積80㎡以上の解体工事など 都道府県・市区町村 着手7日前まで 国交省様式 多くの自治体で可 届出書控、標識掲示写真
石綿事前調査結果報告 大気汚染防止法、石綿障害予防規則 解体部分の床面積80㎡以上など 労働基準監督署、都道府県等 原則、工事開始まで GビズIDで電子報告 原則必須 報告システム受付完了メール、調査記録(3年)
特定建設作業実施届出 騒音規制法、振動規制法 指定された重機(くい打機、バックホウ等)を使用する工事 市区町村 作業開始の7日前まで 各自治体様式 可(自治体による) 届出書控
道路使用許可申請 道路交通法 工事車両の駐車、資材搬出入、高所作業車設置など 所轄警察署 作業の2〜3営業日前(推奨1週間前) 各都道府県警察様式 不可(窓口申請) 許可証(現場携帯)
道路占用許可申請 道路法 足場、仮囲いの設置など継続的な道路使用 道路管理者(国、都道府県、市区町村) 設置の20〜30日前 各道路管理者様式 一部で可 許可証、占用料納付書控
産業廃棄物処理委託契約 廃棄物処理法 産業廃棄物の処理を他社に委託する場合 排出事業者⇔処理業者(双方) 委託開始まで 法定記載事項を含む契約書 電子契約可 契約書(終了後5年
産業廃棄物管理票(マニフェスト) 廃棄物処理法 産業廃棄物の処理を委託する場合 排出事業者→収集運搬業者→処分業者 廃棄物引渡時 紙または電子(JWNET) JWNETで可 A,B2,D,E票(紙は5年
特定元方事業者の事業開始報告 労働安全衛生法 元請・下請が混在し、労働者10人以上の場合 所轄労働基準監督署 事業開始後、遅滞なく 様式第3号 e-Govで可 報告書控
溶接・溶断作業届出 火災予防条例 火花を発する溶接・溶断作業を行う場合 所轄消防署 作業開始の7日前まで 各消防署様式 不可(窓口申請) 届出書控

キャプション:上記は全国共通の原則と代表例です。自治体ごとに様式や電子申請の対応状況が異なるため、必ず管轄行政機関の公式サイトで最新情報(2025年8月時点の情報)をご確認ください。

建設リサイクル法:分別解体等の届出

建設リサイクル法は、コンクリート、アスファルト、木材などの建設副産物のリサイクルを促進するための法律です。一定規模以上の解体工事では、着手前に分別解体計画などを届け出る義務があります。

対象規模・届出タイミング・添付図書・標識掲示

石綿(アスベスト):事前調査・結果報告・掲示

アスベストによる健康被害を防ぐため、全ての解体・改修工事で事前調査が義務化されています。規制は年々強化されており、2025年時点では有資格者による調査と電子報告が原則となっています。

調査者の要件・判定・工事区分・事前報告・掲示事項

産業廃棄物:委託・運搬・マニフェスト

解体工事で発生した廃棄物は、廃棄物処理法に基づき適正に処理しなければなりません。排出事業者は、処理を委託した後も最終処分まで責任を負います。

委託契約書・許可証写し・マニフェストの三点セット

書類 誰が 相手先要件 電子/紙 保存年限 注意点
処理委託契約書 排出事業者(発注者)と処理業者 都道府県の産業廃棄物処理業許可を持つ業者 電子契約可 契約終了後5年間 廃棄物の種類、数量、料金、許可番号などを明記。2026年1月から特定化学物質の情報記載が追加義務化。
許可証の写し 処理業者から排出事業者へ 契約書に添付 紙またはPDF 契約書と共に5年間 有効期限、事業の範囲(廃棄物の種類)が委託内容と一致しているか必ず確認。
マニフェスト 排出事業者、収集運搬業者、処分業者 三者で情報を回付 電子(JWNET)/紙 5年間 電子が推奨。紙はe-文書法の対象外で、スキャン保存不可。A票、B2票、D票、E票を保管。

キャプション:排出事業者は、委託先の業者が適切な許可を持っているかを確認し、契約書を交わし、マニフェストで処理の流れを最後まで管理する義務があります。これらの書類は「三点セット」として一体で管理することが重要です。

騒音・振動規制:特定建設作業の届出

周辺環境への影響を抑えるため、著しい騒音や振動を発生させる建設作業は「特定建設作業」として、事前に届出が義務付けられています。

対象機械・時間帯・作業期間・届出先

道路占用/道路使用:搬出導線と仮囲い

工事用の足場や仮囲いを設置したり、資材搬出入のためにトラックを路上に停めたりする場合、道路管理者と警察署の両方から許可を得る必要があります。

「占用」と「使用」の違いと申請先

手続 管轄(許可を出す機関) 対象となる行為の例 必要図面 審査期間の目安 注意点
道路占用許可 道路管理者(国道事務所、都道府県、市区町村) 足場、仮囲い、朝顔など、道路上に継続して物を設置する行為 平面図、断面図、求積図、保安図 20日〜30日 占用料が発生。専門的な図面が多く、事前協議が重要。
道路使用許可 所轄警察署長 資材の搬出入、クレーン作業、高所作業車など、一時的に道路上の交通に影響を及ぼす行為 周辺略図、作業帯図、交通整理計画図 2〜3営業日 交通の安全確保が目的。交通誘導員の配置が条件となることが多い。

キャプション:これら2つの許可は目的と管轄が全く異なります。足場を組んで作業する場合など、両方の許可が必要になるケースがほとんどです。占用許可は時間がかかるため、工事計画の早い段階で申請準備を始める必要があります。

消防・電気・ガス・水道:停止/撤去の調整

解体工事に先立ち、ライフラインの停止や撤去、そして消防法に関わる手続きも計画的に進める必要があります。

計画停電・ガス閉栓・メーター撤去・消防設備の取扱い

労働安全衛生:作業計画・選任・教育・掲示

労働者の安全を確保するため、労働安全衛生法(安衛法)に基づき、事業者は様々な義務を負います。これらの記録は労働基準監督署の調査対象となります。

作業計画・作業主任者の選任・特別教育の実施

項目 義務の趣旨 誰が(実施主体) 証跡(保管すべき書類) 注意点
作業計画の作成 危険を伴う作業の安全な手順を定める 元請事業者 車両系建設機械作業計画書、足場組立図など 作成した計画は、関係する全ての労働者に周知徹底する義務がある。
作業主任者の選任 専門知識を持つ者が現場作業を直接指揮する 元請事業者 選任を証明する書面、資格者証の写し 建築物解体等作業主任者、石綿作業主任者など、作業内容に応じた有資格者の選任が必須。
特別教育の実施 危険有害業務に従事する労働者に安全知識を付与する 各事業者 特別教育の実施記録(受講者、科目、時間) アスベスト除去、足場組立、高所作業車運転など、対象業務に従事する者全員が受講必須。
各種標識の掲示 工事情報や許可状況、危険性を周知する 元請事業者 現場に掲示した標識の写真 建設業許可票、労災保険関係成立票、石綿調査結果などの掲示が法律で義務付けられている。

キャプション:これらの義務の履行状況は、労働基準監督署による立入検査(臨検)で厳しくチェックされます。教育記録や選任記録などの証跡は、いつでも提示できるよう整理・保管しておくことが重要です。

テナント原状回復の追加書類

店舗やオフィスの内装解体では、法律上の届出に加え、ビルや商業施設のオーナー・管理会社が定める独自のルールに従う必要があります。

ビル管理承認・エレベーター使用申請・搬出計画・近隣告知

ケース別ナビ:木造戸建/RC/テナント内装/夜間工事

工事の対象や条件によって、特に注意すべき書類やリスクが異なります。

工事種別ごとの特有リスクと対策

ケース 要否が変わる・特に重要な書類 追加リスク 対策 参考URL
木造戸建の解体 建設リサイクル法届出、石綿事前調査報告 近隣住民からの騒音・粉塵クレーム、隣家との境界問題 着工前の挨拶回り、防音・防塵シートの徹底、境界の事前確認 各自治体の建築指導課
RC造ビルの解体 上記に加え、特定建設作業届出、大規模な道路占用/使用許可 アスベスト含有率が高い、大型重機による振動、大量の廃棄物発生 綿密なアスベスト調査と除去計画、低騒音・低振動工法の採用、広域認定業者など処理能力の高い産廃業者選定 環境省
テナント内装の解体 ビル管理会社への各種申請、石綿事前調査報告 他テナントの営業妨害、共用部の汚損・破損、作業時間の制約 ビル側と搬出入の時間・経路を厳密に調整、共用部の徹底した養生、夜間・休日の作業計画 各ビル管理会社の施工細則
夜間工事 道路使用許可(夜間作業の条件付)、特定建設作業届出(時間外作業の協議) 周辺住民からの睡眠妨害クレーム、作業員の視認性低下による事故 超低騒音型重機の使用、作業エリアの十分な照明確保、警察・近隣への詳細な事前説明 各都道府県警察

キャプション:工事の特性を正しく理解し、それに応じた手続きとリスク対策を講じることが、プロジェクトを円滑に進めるための鍵となります。

提出スケジュール:逆算タイムライン

書類の提出遅れは工事の遅延に直結します。退去日や着工日から逆算して、余裕を持ったスケジュールを立てることが不可欠です。

着工日から逆算したタスク管理

残日数 やること 提出書類 提出先 証跡
120〜90日前 解体業者選定、アスベスト事前調査の発注 見積依頼書、調査委託契約書 解体業者、調査会社 契約書
60日前 道路占用許可の事前協議・申請、ビル管理会社への工事申請 道路占用許可申請書、工事施工承認申請書 道路管理者、ビル管理会社 申請書控
30日前 電気・ガス・水道の停止・撤去申込 各種申込書(Web/電話) 各ライフライン事業者 申込完了メール
14日前 アスベスト含有時の届出、特定建設作業の届出 特定粉じん排出等作業実施届出書、特定建設作業実施届出書 労働基準監督署、市区町村 届出書控
7日前 建設リサイクル法届出、道路使用許可申請、消防署への届出 建設リサイクル法届出書、道路使用許可申請書、溶接・溶断作業届 市区町村、警察署、消防署 届出書・許可証
前日まで 近隣挨拶、アスベスト調査結果等の現場掲示 挨拶状、掲示物 近隣住民、現場 掲示写真

キャプション:特にアスベスト調査と道路占用許可は時間がかかるため、3ヶ月程度の余裕を見ておくと安心です。このタイムラインを目安に、自社のプロジェクト管理に役立ててください。

見積入札に必要な添付一式

解体業者へ正確な見積を依頼し、追加費用の発生を防ぐためには、発注者側で事前に資料を揃えておくことが重要です。

業者へ提示すべき資料リスト

資料 内容 入手元 更新頻度 注意点
石綿(アスベスト)事前調査報告書 建材ごとのアスベスト含有の有無、含有箇所、レベル 有資格の調査会社 工事ごと これが無いと正確な見積は不可能。除去費用は高額になるため最重要。
設計図書(平面図、立面図、構造図) 建物の面積、構造、仕上げ材などの情報 ビルオーナー、設計事務所、保管書類 竣工時 図面がない場合は、業者の実測調査が必要になる。
現況写真 解体対象範囲の内部、外部、周辺状況がわかる写真 発注者自身で撮影 見積依頼直前 搬出経路や隣家との距離感がわかる写真があるとより親切。
残置物リスト 解体時に建物内に残っている什器、備品、家具の一覧 発注者自身で作成 見積依頼直前 残置物の処分は産業廃棄物となり、量によって費用が大きく変動する。

キャプション:これらの資料を事前に提供することで、業者は工事の規模や難易度、リスクを正確に把握でき、精度の高い見積を算出できます。結果として、後々のトラブル防止に繋がります。

よくある差戻し/違反と是正フロー

書類の不備や手続きの失念は、工事の遅延や行政指導、さらには罰則につながる可能性があります。

代表的なNG例と対策

NG例 原因 是正手順 再発防止策 ペナルティ例
建設リサイクル法届出書の差戻し 添付図書(写真、案内図)の不足、分別計画の記載漏れ 指摘事項を修正し、窓口またはシステムで再提出する。 自治体の手引きを熟読し、チェックリストで確認する。 工事着手の遅延
アスベストの無届での除去作業 事前調査の未実施、報告義務の認識不足 直ちに作業を中断し、労働基準監督署に報告・相談。調査・届出を行う。 全ての工事で事前調査を必須とし、調査結果を社内で共有する。 30万円以下の罰金(報告義務違反)
無許可での道路使用 「少しの時間だから」という安易な判断、申請忘れ 警察官の指示に従い、速やかに車両を移動。後日、正式に申請する。 少しでも交通に影響する作業は、全て道路使用許可の対象と認識する。 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金
マニフェストの不交付・虚偽記載 コスト削減のための不法投棄、管理体制の不備 廃棄物処理法に基づき、適正な処理ルートで再委託し、マニフェストを発行する。 電子マニフェストを導入し、管理をシステム化する。優良認定業者を選ぶ。 1年以下の懲役または100万円以下の罰金

キャプション:違反の多くは「知らなかった」「うっかりしていた」という認識不足から発生します。法令遵守は事業者の社会的責任であり、意図せず違反してしまった場合でも厳しい罰則が科される可能性があります。

チェックリスト:書類・提出先のダブルチェック

抜け漏れ防止のため、最終確認用のチェックリストをご活用ください。

解体工事書類・届出チェックリスト

項目 合否基準 担当1st 担当2nd 期限 保存場所
□ 石綿事前調査・報告 GビズIDで報告完了、受付メール受領 着工前
□ 建設リサイクル法届出 自治体の受付印がある控を受領 着工7日前
□ 特定建設作業実施届出 受付印がある控を受領(必要な場合) 着工7日前
□ 道路使用許可証 所轄警察署から許可証原本を受領 作業前日
□ 道路占用許可証 道路管理者から許可証原本を受領 設置前日
□ 産廃処理委託契約書 双方の押印完了、許可証写しを添付 委託前
□ マニフェスト交付準備 電子(JWNET)または紙の準備完了 引渡時
□ ライフライン停止申込 各事業者への申込完了、工事日確定 着工1-2週間前
□ ビル管理会社への承認 承認印のある申請書控を受領 着工2週間前
□ 近隣挨拶 工事概要と工程表を配布完了 着工前日

キャプション:担当者を2名体制(1st:実行担当、2nd:確認担当)にすることで、ヒューマンエラーを大幅に削減できます。完了した項目は保存場所まで記録し、いつでも取り出せるように管理しましょう。

よくある質問

参考サイト

まとめ

解体工事を成功させるためには、現場での安全管理や施工品質はもちろんのこと、その前段にある煩雑な行政手続きをいかに正確かつ計画的に進めるかが極めて重要です。本記事で紹介した三大手続き(建設リサイクル法、アスベスト、産業廃棄物)を軸に、工事の特性に応じた追加手続き(騒音・振動、道路使用・占用など)をリストアップし、逆算スケジュールに落とし込むことが実務上の最適なアプローチです。

特に、アスベスト規制の強化や各種手続きの電子化は今後も進んでいくと予想されます。常に最新の法令や自治体の情報を確認する習慣をつけ、チェックリストを活用しながら、抜け漏れのないプロジェクト管理を徹底してください。このガイドが、皆様の安全で円滑な店舗・オフィス解体の一助となれば幸いです。

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