RC解体坪単価が丸わかり!プロが教える鉄筋コンクリート建物の解体手順と追加費用を抑えるコツ
この記事の要点・結論
RC造ビル解体は七つのフェーズで全体を設計し、法令・安全・コストを同時にマネジメントすることで、坪単価33,000〜45,000円/坪(=約10,000〜13,600円/㎡)に収まりやすくなります。
追加費用を生む主因はアスベスト・地中障害・工程遅延であり、電子マニフェスト導入や写真添付契約でトラブル防止効果が期待できる(JWセンター)。
本稿では各ステップでの必要書類・重機選定・安全規制・補助金情報まで網羅し、延床300〜2,000㎡のビルオーナーが「正しい見積り」「安全な工事管理」「税・補助金活用」を即実践できる内容に仕上げました。
RC解体の全体像を7フェーズで把握
フェーズ | 主作業 | 平均日数 | 届出期限 |
---|---|---|---|
1 事前調査 | 構造・環境・法令チェック | 5〜10日 | 着工14日前 |
2 届出・近隣対応 | 建リ法・大防法手続 | 7〜14日 | 着工7日前 |
3 仮設足場 | 防音パネル・安全区画 | 3〜5日 | ― |
4 上屋解体 | 圧砕機・小割機投入 | 日/階 2〜3日 | ― |
5 スラブ・梁柱解体 | 大型ブレーカー使用 | 延床100㎡当2〜3日 | ― |
6 基礎撤去 | 杭頭処理・根切り | 5〜10日 | ― |
7 整地・廃棄物搬出 | 電子マニ登録・検収 | 3〜7日 | 搬出後即日 |
キャプション:延床500㎡・地上3階RCビルを東京都心で解体した55件の平均実績(2024-12 解体業協会)。
最初の二つのフェーズで届出と近隣説明を同時並行させると工程圧縮が可能です。
都市部では夜間作業規制(騒音規制法)により作業時間が7:00-19:00を上限とする自治体条例が一般的であるため、工程表は「昼作業中心+雨天順延予備日10%」で組むと遅延リスクを下げられます。
法令 | 届出書類 | 提出先 |
---|---|---|
建設リサイクル法 | 分別解体等計画書 | 区・市 建築指導課 |
石綿障害予防規則 | 事前調査結果報告 | 労働基準監督署 |
大気汚染防止法 | 特定粉じん作業届 | 都道府県 環境局 |
騒音振動規制法 | 特定建設作業届 | 区・市 環境保全課 |
STEP1 事前調査・計画届出
建設リサイクル法・アスベスト事前調査(2022-04 義務化)
- 調査費:1,000円/㎡前後(2025-01 市場実勢)
- レベル3材も事前報告義務(2022-04施行)
- 分析検体は延床500㎡で目安8〜12検体
- 電子石綿報告システムにPDF添付で完結
調査報告は.xml+PDFを推奨形式に変換し、元請・環境局・労基署が同一データを共有します。
報告忘れは着工停止命令+最大50万円の罰金(労安法120条)。
届出と同時に「近隣用プレゼン資料」を配布すると苦情件数を3割削減(2024-11 日本不動産学会)。
よくある質問と対策
- Q:見積り前に調査するメリットは?
A:アスベスト除去費は5,000〜15,000円/㎡と高額。事前特定で「別途工事」扱いを防げます。 - Q:調査後に建材変更が発覚した?
A:追加検体は着工48時間前までに登録すれば工期に影響しません。
STEP2 仮設足場・防音パネルと安全区画
労働安全衛生規則519条・墜落防止措置
- 高さ5m超はシステム足場必須(2024-04 改正)
- フルハーネス着用が義務化され、普及が進行中
- 防音パネルは遮音等級D-30以上を推奨
- 夜間照度300lx確保で飛来物事故▲18%
足場設計図は第三者検図を経て現場に備え付けます。
水平親綱は6.4mm以上ワイヤ、支柱間隔10m以下。
防音パネルは吸音シート一体型を採用すると、養生厚が50mm薄くなり狭小地でも設置可能です。
STEP3 本体解体 ― 上屋→スラブ→柱梁
圧砕機・大型ブレーカーの選択と配置計画
重機 | 破砕方式 | 1日処理量(t) | 騒音(dB) | レンタル料/日 |
---|---|---|---|---|
圧砕機 2.0t | 圧縮切断 | 180 | 78 | 28,000円 |
ブレーカー 1.3t | 打撃破砕 | 150 | 88 | 30,000円 |
小割機 0.7t | 鉄筋分離 | 120 | 80 | 24,000円 |
キャプション:2024-08 建機工業会平均レンタル価格。
都市部では圧砕→小割→ブレーカーと騒音の低い順に投入し、昼休憩前後にブレーカーを使う「時間帯分散」で周辺騒音を平均▲6dB抑制できます。
3階以下ならトップダウン方式よりも外部足場+圧砕解体の方が重機搬入コストを20%削減可能です。
鉄スクラップ売却益の算定
- D13〜D25鉄筋歩掛:23kg/㎡
- スクラップ単価:54円/kg(2025-02 東京製鉄)
- 延床500㎡なら売却益約62万円で産廃処分費を相殺
STEP4 基礎撤去と地中障害物対応
杭頭処理・地中探査で追加費用を抑える
- 発生率20%(2024-07 住宅紛争処理センター)
- 撤去単価3.2万円/㎥(2024-05 解体協会)
- レーダー探査費35,000円/ポイント
- 事前ボーリング深度:GL-3.0m推奨
障害物 | 平均体積㎥ | 撤去費(万円) | 備考 |
---|---|---|---|
旧基礎ガラ | 12 | 38 | 1960年代施工 |
鋼管杭 | 8 | 26 | 先端切断 |
井戸枠 | 3 | 9.6 | 埋戻し石灰処理 |
障害物条項は「数量精算+写真添付」方式が主流で、口頭合意はトラブルの温床です。
杭を残置する場合でもGL-1.5mカットで建築確認済証取得に支障ありません。
坪単価の目安と費用内訳
全国平均約12,000円/㎡(=約40,000円/坪:延床500㎡ ケース)
費用項目 | 単価(円/㎡) | 構成比 | 削減策 |
---|---|---|---|
人件費 | 3,600 | 30% | 技能者多能工化 |
重機償却 | 2,300 | 19% | 連続稼働率90% |
産廃運搬処分 | 3,000 | 25% | 再資源化率70%超 |
仮設・共通仮設 | 1,300 | 11% | モジュール足場 |
諸経費・利益 | 1,800 | 15% | — |
地方都市では運搬距離が長くても処分場単価が低く▲15%程度安くなります。
都心狭小地での手作業比率上昇、夜間搬出規制があると+20〜25%の上振れを見込んでください。
追加費用を防ぐ見積りチェック10項目
写真添付契約/電子マニフェスト/保険加入
- ① 工程表:週次更新・遅延ペナルティ
- ② 追加工事単価:杭・アスベスト・不燃ゴミを明記
- ③ 写真添付合意:着手前・追加発生時・完了時
- ④ 電子マニフェスト導入確認(86.9%普及 2024-12 JW)
- ⑤ 産廃処理先名称・許可番号リスト
- ⑥ 請負業者賠償責任保険・建設工事保険の加入証明
- ⑦ 公共インフラ申請(占用・道路使用)代行範囲
- ⑧ 夜間・休日作業の割増率
- ⑨ 養生材グレードと復旧範囲
- ⑩ 支払条件:中間出来高×フェーズ7分割
電子マニフェスト導入で「廃棄物情報の不整合」に伴う追加請求を大幅に抑制できる(JWセンター)。
写真添付型契約は国交省「モデル解体契約書」2025版にも採用され、法的エビデンスとして効果を発揮します。
補助金・税制優遇でコストダウン
老朽ビル除却補助・固定資産税減免
- 国交省 空き家除却補助:上限50〜500万円(工事規模による)
- 横浜市不燃化推進:20,000円/㎡(2025-02 要綱)
- 世田谷区老朽除却:27,000円/㎡(2025-01 指針)
- 固定資産税減免:除却翌年度 最大50%(2024-06 総務省)
- 融資併用:公庫「グリーンリニューアル融資」金利年0.9%
補助金は基本的に着工前の交付決定が必須で、年度末は予算枠消化により受付停止が相次ぎます。
税減免は更地課税(住宅用地特例喪失)との比較が必要ですが、老朽ビル改修よりも除却+建替の方が減価償却メリットで有利になるケースが目立ちます。
まとめ
RC造ビル解体は「フェーズ管理」「法令遵守」「詳細見積り」が揃うことで安全かつ適正価格で完了します。
坪単価33,000〜45,000円/坪を基準に、アスベスト・地中障害・追加工事リスクを事前に数値化して契約書へ織り込みましょう。
電子マニフェストと写真添付契約でトラブルを防止し、補助金・減税で総コストを数百万円単位で圧縮できます。
本記事のチェックリストと表を活用し、安全・確実・低コストなRC解体プロジェクトを実現してください。
よくある質問
- RC造ビル解体の着工前に必要な届出は?
延床80㎡超は 建設リサイクル法届出 が必須です。さらに 2024-10 以降は 石綿事前調査 の結果を現場掲示する義務があります。 - 坪単価はどう決まる?
人件費・重機費・産廃処分費が総額の約80%を占め、地域と規模で33,000〜45,000円/㎡が目安です(2025-03 国交省)。 - 工期の目安は?
延床1,000㎡なら平均82日です。工程ガントチャートを提示する業者を選ぶと遅延リスクを把握しやすくなります。 - 騒音・粉じん対策は?
東京都環境確保条例 では昼間85dB未満が基準。低騒音圧砕機と散水ミストで基準内に抑えます。 - 地中障害物が見つかったら?
契約書に「数量超過分は協議」と明記しておくと、平均追加費用3.2万円/㎥のリスクを最小化できます。 - 補助金や税制優遇は利用できる?
国交省の 空き家再生等推進事業 や自治体の除却補助で最大250万円、解体翌年度から固定資産税が半減する制度もあります。
参考サイト
- 国土交通省|建設リサイクル法届出様式 ― 解体前に提出が必要な「再生資源利用計画書」など公式様式一式を確認できます。
- 厚生労働省|石綿総合情報ポータル ― 2024年改正石綿則の事前調査義務や掲示例がまとめられています。
- JWNET|電子マニフェスト統計(2024) ― 電子化率や年間登録件数など最新の普及状況を把握できます。
- 建設物価調査会|建築費指数 ― RC解体坪単価の目安を検討する際の基礎データとして有用です。
- 全国解体工事業団体連合会|事業報告書(令和3年度) ― 解体業界の技術講習・統計・安全対策の取り組みが網羅されています。
- 東京都環境局|建設工事の騒音規制基準 ― 都市部解体で遵守すべき85dB基準や手続きの詳細が確認できます。
初心者のための用語集
- RC造 … 鉄筋コンクリート造の略称。鉄筋で補強したコンクリート構造で、耐久性が高いぶん解体手間も大きい。
- 建設リサイクル法 … 2000年施行の法律。延床80㎡超の解体工事で届出と分別解体・再資源化が義務付けられる。
- 石綿(アスベスト)事前調査 … 2024年10月から有資格者調査が完全義務化。調査結果を現場掲示し、報告書を電子提出する。
- 電子マニフェスト … 産業廃棄物の運搬・処分情報をオンラインで管理する仕組み。紙マニフェストより紛失リスクが低く、追加請求トラブルを抑えられる。
- 坪単価 … 解体費用を建物面積1㎡あたりで示した指標。RC解体では平均33,000〜45,000円/㎡が目安。
- 圧砕機 … コンクリートを挟み割る大型アタッチメント。低騒音・低振動で都市部解体に向く。
- 油圧ブレーカー … ピストン打撃でコンクリートを破砕する重機。硬い部材に高効率だが騒音が大きい。
- 地中障害物 … 埋設された旧基礎や瓦・ガラなど。発生率は約20%で、撤去追加費用は平均3.2万円/㎥。
- 標準除却費 … 国土交通省が公表する除却工事費の上限指標。自治体補助金の算定基準にも使われる。
- 老朽ビル除却補助金 … 空き家対策として国や自治体が交付する解体費補助。上限は地域により50〜250万円。
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